tori studio『観客が受け取るもの』 トリさんの記事より
facebookに投稿された記事。
心に響く内容だったのでシェアします。
『観客が受け取るもの』
こんにちは!
toriです。素晴らしい台本にはメッセージがあります。
魂があります。
それらを伝えることが俳優の使命です。
演技とは与えられた想像上の世界で真実に生きる能力です。
台本はそれを可能にするための【情報】です。
決して、【見せるもの】ではありません。
日本でよく「セリフ回しが上手い」、「間の取り方がうまい」などという表現を耳にしたことがあると思いますが、これは、日本の古典芸能から来ています。
そのなごりもあって、演技を【計算】し、ここではこれくらいの間を取って、ここではこんな言い方をして、などという演技の型を前もって作ってしまい、それを忠実に出来るのがいい俳優とされる風潮があります。
日本だけです。
セリフの言い方で、声の抑揚で感情を表現しようとするのは、間の取り方で気持ちを表現するのは、それっぽい表情を作ることでそれっぽくみせようとするのは。それは、演技ではありません。演技とは、型で表現するものではありません。真実に生きることです。
演技と歌舞伎は違います。
歌舞伎は型で見せる芸術。
演技は「その状況で生きる姿」の芸術です。
真実に生きることが全てです。
【真実だけが観客の心に届くことが出来る】のです。
こんな経験はないでしょうか?
舞台上や、映像を見ていて、緊張している俳優を観て、こっちがソワソワしてしまったこと。
俳優が緊張しているというのが舞台上での【真実】で、観客はその真実を受け取って感じてしまうのです。
観客は舞台上で生まれている真実を受け取ります。
また、観終わったあとに、特に心に何も残らない。
という経験をしたこともあるでしょう。
これはある程度、経験のある俳優の方々が出演している舞台によく起こります。
それは、舞台上にいる俳優達が慣れているので、それなりに観れてしまう。
つまり、自然な会話が出来ているのだけれども、「心」がないのです。だから、観客の受け取るものは【自然で、慣れている】という真実を受け取ってしまうので、何も心に残りません。ストーリーを理解しただけです。
つまり、逆に言うと、俳優が台本に沿って【真実に】苦しんでいたら、観客はそれを感じ取ります。俳優が台本に沿って【真実に】怒っていたら、観客はそれを感じ取ります。
全ての瞬間で俳優が、よく書かれた台本に基づいて真実に生きていれば、観客は台本の全てを感じ取ることが出来るのです。
これが演技という芸術です。
そうなれば、俳優はただのストーリーテラーではなく、その世界に生きている人間になります。
それが演技という偉大な芸術です。
それが出来るようになる為には、絶対に訓練が必要です。
そういう演技に導いてくれる先生を探して、その先生と何年も訓練しなければ手に入りません。
その先生が本当に素晴らしく、指導する才能、知識、経験があれば、訓練すれば、必ず手に入ります。
以下、現在に至る世界の演技を作ってきた偉大な演技教師たちの言葉です。
ジョニーデップ、ジャックニコルソンの先生の本のタイトル
『No Acting Please(演技しないでください)』
ウタ・ハーゲンの言葉
『私が劇場に行って、舞台を見た時に、演技が見えたら、その瞬間に私はその舞台が嫌いになります。』
サンフォード・マイズナーの言葉
『演技とは想像上の世界で真実に行動することだ』
ロバート・ルイスの言葉
『いい俳優が演技をすると、演技は消える』
ステラ・アドラーの言葉
『キャラクターの魂を伝える為に人生を捧げる、これが俳優の生き方だ』
俳優はストーリーテラーではない、ということですね。
偉大な作品の魂を伝える任務を果たし、観客にメッセージを伝え、観客を感動させるために、日々、努力しましょう。
言い訳は、誰にでもできる。
言い訳ができない状況に自分をあえて追い込むのも一つの方法でしょう。
そして、本当に演技が好きな俳優にとっては、それほど幸せな生き方はないでしょう。
Respect for acting.
Love for acting.
マスターアクティングコーチ®
tori
自分は努力しているか?言い訳をしていないか?逃げていないか?
前に進もう。
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